結婚式当日の新郎ご挨拶、緊張の中の本音に幸せを感じます
お披露目のパ-ティー後に「ありがとうございました、おかげ様でいい披露宴になりました」と言われるのは、疲れが吹き飛ぶほど嬉しい瞬間です。
それにも増して、お開き前に新郎のご挨拶を聞き、本音が出てきた時はもっと嬉しいものなのです。
皆さん、きちんとご挨拶を用意されるのが一般的だと思います。
紙に書いて、原稿を用意されて、中には覚えてきてなんてこともあります。一生懸命練習し、忘れないように、忘れないようにと頑張ってこられます。
それでも、用意した原稿ではなく、本日感じた感想をおっしゃる場合もある。その時が実はお二人の本音であり、想いだと思っています。
ある披露宴でのことでした。
新郎は間もなく50歳を迎える、初婚の方です。新婦は10歳以上年下の、外国籍の方でした。初婚です。
いたって普通の披露宴ではありましたが、ご入籍をされてから、かなり年月が経っていました。
それでも新郎さんが、結婚を決められた年齢は40代後半。決して早い結婚とは言えませんよね、と打ち合わせの時におっしゃっていました。
いつ披露宴を開催しようか、迷いに迷っているうちに時間が過ぎてしまった。
それでもお披露目だけはしたいと言う事で、大きなこだわりがあるのではなく、逆に普通に披露宴を挙げたい、それがお二人のご要望でした。
新郎さんは、とても楽しい方で、打ち合わせの時もお話が弾みました。
ご夫婦仲が良く、ご家庭もいたって平穏、明るいご家庭だと感じられました。お二人のやり取りにもそう感じられたのです。
さて、披露宴当日になりました。披露宴も順調に進み、あっという間にお開きの時間が近くなってきました。
いよいよ、ご両親へ感謝の気持ちを伝える場面、そしてお二人から記念品贈呈と ごく普通の披露宴の流れでした。
お開き前のご挨拶は新郎のみ。新郎曰く、やはりある程度の年齢ですから、私が締めるものでしょうと言う事で、打合せで決まっていました。
ごく一般的なご挨拶という感じで聞いていましたが、新郎は出席されている皆様の顏をぐるっと見て、「この年齢になると、昨日食べたもの、朝何食べたのか全く思い出せない事ばかりです。」そう言ったのです。
お客様は、思わずにっこり。そういう私も、年齢的に近いので、思わずうなずいてしまいました。
実際そういうものです。(本当に)
そして、「忘れる事はたくさんあっても、一緒にいられる幸せは格別です。これからの時間は限られているのかもしれないけれど、ずっと幸せに過ごしていきたいと思っています。本当に結婚してよかったです。みなさん、これからもよろしくお願いします」
作った言葉ではなく、素直な気持ちを皆様に伝えた新郎。
その横で穏やかな笑顔の新婦のお姿を見て、担当してよかったと思える瞬間でもありました。
お開き前のご挨拶は、本音が出るものなのかもしれません。それが実は私にとって一番うれしい言葉なのです。
やはり年齢を重ねれば、幸せの形は違うのかなと思う方も多でしょう。でも、いくつになっても同じなのです。
そう結婚ってそういうもの。
社会経験を重ねた先に出会った幸せは格別なのかもしれませんね。